
バンコクという都市で、私は通勤ラッシュを体験するとは思いもよらなかった。
もちろん、交通渋滞がひどい都市であるということは知っていたし、それなりに人も道路もすべて混雑はするのだろうなあくらいに思っていたが。要するに、のんびり構えていたのである。
実際に、バンコクで生活をしてみると、通勤時間帯の通勤ラッシュというものに、さながら辟易させられる。
とくに、バスの中のラッシュがすさまじい。
バンコクにも、BTSや地下鉄などの列車が走っていることは走っているのだが、それらの列車はバンコクのあらゆる地域をきちんと完全に網羅しているとは言いがたい。
バンコクの人々にとって、いまだに重要なのは路線バスであり、自動車を中心とした陸上交通が通勤の要なのだ。
結句、通勤する人々は、道路に集まってくる。
自家用車をもっている人は、何が何でも自家用車で通勤をしようとする。そこに、エコとか、環境問題への配慮とか、そういう考え方などは、微塵も入りこむ隙はないのではないか?と、ラッシュ時間帯のバンコクの交通渋滞を見ながらそう考えてしまう。
そして、路線バスに乗って、席に座れなかった場合はひどい。
ぎゅう詰めである。東京の通勤ラッシュとほとんど変わらない。いや、それ以上かと思うときさえある。
何しろ、バスに乗っていて、モタモタしていると、自分が降りたいバス停で降りられないこともあるのだ。
私は物見遊山の観光客であったこともあって、バンコクの通勤ラッシュの時間帯はなるべく避けるようにして行動していた。
それでも、夕方などはラッシュにひっかかってしまうこともあり、これさえなければ、つまり、交通渋滞さえなければ、バンコクはもうちょっと生活のしやすい都市なのになあと、ひとり考え込んだものである。